自己紹介をしようと思う。
僕の名前は氷空結弦。大学で心理学を教えている父と歌手の母との間に生まれた一人っ子。
日本で生まれて父の仕事の都合上、五歳の時にアメリカに家族で引っ越すことになりそれからはアメリカで暮らしていた。
僕には生まれつき人とは異なる才能があったから英語はすぐに話せるようになったから毎日が楽しい日々の繰り返しだった。
父と母は優しく僕を育てくれていた。僕はそんな家族が大好きだった。

・・・そう、あの時が来るまでは。


あれは確か・・・六年前の話だ。
家族でニューヨークに行った時のこと。
その時は普通に三人で買い物をしていた。
何一つ普通の日常のはずだったんだけどあいつらのせいでそれは非日常へと変貌した。

テロリストが僕たちのいたショッピングモールに入ってきて立てこもったのだ。
それからは誰でも想像ができるだろう。中にいた人は皆パニック状態になり、テロリストたちは逃げようとする人を見せしめの如く次々と殺害していった。
そして人々は気づく、生存率を上げるにはこの人たちに従うほかないということを。

そして一か所に集められた僕たちは犯行声明を外部に放送しているテロリストたちを見ていることしか許されなかった。

犯人たちの狙いは膨大な資金と自身の確実な逃走ルートの確保。
後から考えればテロリストとしては少し違和感を感じるものだったけど当時の僕はそんなこと考えてもいられなかった。

目の前にいるのは自分たちに死をもたらすもの。
それに対する恐怖で体が震えていた。声をあげたいのに喉から声が出てこないほどに。
そして、犯人たちは急に人質の中から誰かを探していた。
急に僕の目の前に止まったと思ったら腕を引かれて連れていかれそうになった。そこで母はテロリストに対して僕を守るために抵抗し、殺された。
母が銃で撃たれたと同時に父も殺されてしまった。
その時に僕が涙を流さなかったのはきっと極限状態の中、一番信じたくない事実を突きつけられて心が壊れたからなんだと今になって思う。

そしてテロリストたちは僕を連れて逃走。追跡があれば人質である僕を殺すといい見事に逃走に成功した。


・・・きっとテロリストたちはこれからの自分たちは何でもやりたいようにできる。そう思っていたんだろうね。

彼らが逃走に成功した後に僕をある人の元に引き渡すといっていた。
何でも僕を渡せば報酬で今回獲得した金と同額の報酬を受け取ることができるからだという。
結局は金に目が眩んだ愚かな人間、僕をある女の元に引き渡した。
するとその女は満足したかのように口元を歪め、笑みを浮かべたのちにテロリスト集団を背後にいた黒服の人たちに射殺させた。

ただでさえ、非日常的な出来事が続いている。今更誰が死のうがどうでもよかった。だってその時の僕はモノ同然だったのだから。

ただ、その時に気づいていればよかった。その女がふとこぼした一言を。

「これで適応者は我が手中に・・・」

とね。


それから僕はある施設に連れていかれた。なんでも研究所のようなところで僕と年が異なる子供がたくさん集められていた。
ただ一つ以上だったのは女の子しか周りにはいなかったことだった。

僕をここに連れてきた女は言った。
お前の使い道はこいつらが覚醒した後だ。それまではこいつらの管理をしろ・・・と。
幸か不幸か僕には変な特技があった。
昔から一度読んだ本は一字一句全部暗記できるという特技。
それを上手に使ってこの研究施設における年の違う子供たちを子供である僕が管理する。それがあの忌々しい呪われた宿命の始まりだった。